本書は
新潮文庫版で読む。
著者が、学生時代に発表したもの、
芥川賞受賞作品。
冒頭を読んでみるとすぐに惹き込まれた。
異様な文体、このような
宗教哲学論争のまま最後まで小説として持つのかと期待しながら読んだのだ。
しかし、それは適わなかった。
それは、
哲学書と小説を混同した私の思い入れでしかない。
また、強いて批判すれば、余りにも画(細部)を書きすぎたようだ、それは読者の想像力を殺いでしまったように思うのだ。
もしかすると、本作は、構想に対して紙数が少なすぎたのかもしれない。
それでもなお、この時点でこのような作品を描ける著者の才能には羨望するよりほか無い。