110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

言語的思考へ(竹田青嗣著)

 本作は2001年、径書房刊行のもの。

 刊行されたのは、ちょうど21世紀に入る時なので、20世紀の思想を振り返る形になっているのだろう。
 ここでは副題として「脱構築現象学」とあるように、一世を風靡した「脱構築」についての罪・・・様々な思想を、否定的に、相対化(無力化)してしまい、肯定的、建設的な面を育てることを阻害した、として・・・ に対していくつかの(脱構築事例の)反駁をしている。
 たしかに、20世紀は相対化の世紀ではあったと思う、しかし、だからといって、何でもマイナスに転じれば良いというものでもないだろう、そう、気が滅入ってしまうのだ。
 だから、そのバランス(本質?)を取り戻すことが21世紀の哲学・思想の課題だということになるのだろう。

 さて、本書の刊行後、数年が経過したが、現状は、いかがだろうか?
 ポストモダン思想の旗手はいなくなったが、その後がまだ無いような気がする。

 話は変わるが、いつもながら、竹田氏の著作は丁寧に書かれているので、私のような浅学者にとってはわかりやすいので助かっている。