110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

物理と数学の不思議な関係(マルコム・E・ラインズ著)

 本書は1998年三田出版会より刊行された、私は、2004年初版の、ハヤカワ文庫<数理を愉しむ>シリーズで読む。

 昨年末、たまたま書店で3冊ほど見つけたのを買って、本作で読了ということになる。
 最近は、哲学やら文学やらの本を濫読しているが、こういう自然科学系の作品もとても面白い。
 しかし、数式がちんぷんかんぷんなので、この点は自分にとってはコンプレックスの種なのだ。
 
 本書は、物理学というのは、それ以前に発見された数学の成果が反映しているのよ、だから、数学>物理学(数学偉い!!)だと、暗にほのめかしている著作だ、という解釈らしい。
 まぁ、そう読めるレベルの人はそれでよいのだ、とにかく、こ難しい数式を投げ打って、本書を読んでいくと、物理の専門家の苦労が見えてくる。

 たかだか、3つのものの間の関係を厳密に決めるのさえ難問なのに、ある物質の、途方も無い数の原子やら分子やらの振る舞いを決定するために、どこかでばっさりと厳密性を見限る・・・それはとても高度な判断なのだけれど、その(言葉は悪いが)マジックを知るだけでも、うれしく思ってしまう。

 そう、物理の世界は高度なマジックだ、しかも、地味だが役に立つのだ。

 この自然界では、とても簡単に見えることが、恐ろしいく複雑な動きをしていたりする。
 そう知るだけでも、少し、安心するのだ。