110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

2015-01-01から1年間の記事一覧

情熱の行方(堀田善衛著)

本書は岩波新書1982年刊行のもの、あとがきにある「人間情熱というものが、人をして如何なる地点まで行かしめるものであるか」という著者の言葉が的確に表現していることだろう。 著者はその時に住んでいたスペインの各地を題材に、まさに人間の良いも悪いも…

道は生きている(富山和子著)

本書は講談社青い鳥文庫「自然と人間」シリーズのうちの一冊、他に「川は生きている」「森は生きている」などがあります。 書かれたのが1980年頃ですので今となっては古い感じもしますが基本的な問題点は変わっていないように思います、現在はさらに科学が発…

鳥の物語(中勘助著)

本書は岩波文庫版で読む。 「本書は少年少女向きに書かれたものだろうが大人の私でも十分に堪能できる」と書こうとしたのだが、あとがきに著者が「成人のための童話」とあったのを見て、少しほっとしたのだ。 著者は多くの時間を掛けて一つ一つの作品を仕上…

真剣に考えなければならないこと

動画に笑い声も…女性に暴行、介護職員逮捕 日本テレビ系(NNN) 3月31日(火)19時16分配信 名古屋市の介護施設で入居女性(93)に暴行を加えたとして、職員の男3人が逮捕された。携帯電話に暴行の様子の動画が残っており、そこには「笑い声」が記録されて…

チェニジア戦

勝ったのは嬉しいのだが、ひょんなところに不満があった。 それは、家は東京なのでTBSで中継を見ていたのだが、このカメラの振り方がめちゃくちゃで試合がどうなっているのか一向にわからないことに関係者は気づいていたのだろうか? まぁ、このようなマイナ…

折り返し点1997~2008(宮崎駿著)

本書は岩波書店2008年刊行のもの、比較的厚めの本ながら作者の知名度なのか売れたようだ。 私は第4刷を手に入れて読んだ。 宮崎駿と言う人は、アニメのイメージからか世界的な映画賞で認められたりしたためか、何か善い人の様に思われている節がある。 それ…

阿倍野署の署長の行動は

警官女性殺害で上司の署長の発言が問題になりました。 この署長は特にわざわざ謝罪をしなくても良かったのですよね。 遺族もそれを求めていなかったし、それを、忙しい中事後処理で大阪まで別件で来た遺族を、わざわざ呼び寄せた上に、「被害者は私」みたい…

ふと、思ったこと

女子大学院生殺害。 高瀬舟。

エコを選ぶ力(ダニエル・ゴールマン著)

本書は早川書房、早川新書Juice2009年刊行のもの。 この手の地球環境ものは大体収拾がつかなくなるものだ。 考えてみると、 被害者(人間)が加害者であること、 極論すると人類の粛正にまで話が展開すること、 そして、どうもそれが正解であるようなこと。 …

99%とは

99%除菌というと何か凄く清潔なイメージになるがこれを見方を変えればとんでもない事になる。 良く知られたところでは、工業製品などで、例えば、ネジの不良率が1%(99%は良品ととらえる)などというと、100本ネジ締めると1本は不良ということになり、これで…

感想戦から見たので

私が見始めたときには既に感想戦に入っていました。 橋本八段は茶髪&和服で対局といういでたちなのですぐにわかる風貌。 彼が負けたようなのでどんな将棋だったのかと興味はあったのですよね。 感想戦では、行方八段は上手く打ち回して優勢だった様に見受け…

遊びの論(安田武著)

本書は昭和46年永田書房刊行のもの。 本書はを今読めば懐古趣味の書ということで結論つけられるだろう。 古き良き演芸廓職人の賛美と終戦後の社会批判という感覚は否めない。 そして、ちょうどこの時期は「豊かにはなったけれども古くからあったものことを捨…

レクサスとオリーブの木(トーマス・フリードマン著)

本書は草思社2000年刊行のもの、グローバリゼーションという言葉は今もって良くわからない言葉だが、その草分けともいえる本書を読むとわかるかもしれないという感覚の読書。 上巻を昨年の10月に読んだのだが、なぜか下巻を突然思い立ったように昨日読んだ。…

一つの社会的実験となるか

本件は賛否両論になろう、しかし、これを報道したことと、今後行われる各種対応で、現在の日本の状況がすこしは見えてくるのではないか? 毎日新聞 3月4日(水)20時6分配信 <川崎中1殺害>週刊新潮が18歳少年の実名と顔写真掲載 週刊新潮編集部は毎日新聞…

深沢七郎集第7巻

本書は筑摩書房刊行のもの。 「楢山節考」の他、氏の著作は古本でも意外に値がついているのでなかなか手がでないのだが、本書は大学の除籍本で入手したので少し安い、それでも自分としては高いと思う、それだけ人気があることなのかもしれない。 賛否両論評…

雑感

自分の経験からすると、 いじめを受けると自分より弱いと思う者に対して残虐になる傾向はある。 また、いじめをされていたということを、直接親は判断できない。 (子供やその友人などが伝えない限りは) 今回の川崎の事件では被害者の周りの人々は対応行動…

空想工房(安野光雅著)

本書は昭和54年平凡社から刊行されたもの、私は昭和61年刊行の文春文庫版で読む。 第一エッセイ集で、後書きには若書きのところがあるなどとあるが、面白さのなかに多少シリアスな味付けがされていて却って好ましい。 この作者は、私にとって当たり外れはま…

ギターの買い取り

というバナーがあったのでクリックしてみた。 スタッフ紹介があって、随分若い人(写真)がやっているなぁと思って見ると、楽器店勤務の履歴の人がいない。 ギターに関する説明も私の知っていることと違う。 これも時代の流れなのかな? 例に、MartinのD-28…

ノンビリすいぞくかん(長新太作)

本書は理論社「ナンジャコリャ童話館」の中の1冊、他に「ボンヤリどうぶつえん」と「ヘンテコどうぶつ日記」があある。 先般紹介した「子どもの本を読む(河合隼雄著)に「長新太は凄い」と激賞していたので一度読んでみたかったのだけれどもなかなか古本屋…

中学校読書感想文集「けやき」を読む

本書は新宿区教育委員会2010年刊行のもの通算第25集目にあたる。 近くの図書館でリサイクル扱いだったのを拾う、こういう本は滅多に読めるものではないので貴重だ。 さて、本書のうちで一番下品な文章は「審査を終えて」という作成委員による文章だ。 大人の…

雑事中の雑事

大学生の頃酒屋でバイトをしていたことがあった。 ある時にお客さんに「そういえば、この商品値段が違ったことがある」と指摘されたことがあって、その時は「まぁ、いいか」と言ってくれたので助かったことがある。 本当は助からないのだけれどね。 なんでこ…

子どもの本を読む(河合隼雄著)

本書は1990年楡出版刊行のもの、私は講談社+α文庫版で読む。 子ども向けの本を甘く見てはいけない、大人にも貴重な経験を与えるような良書(問題書?)がある、そのうちの何冊かを著者の独断の解釈で記したものが本書だ。 20年前以上も前の本だから「家庭内…

世の中はこんなもの

父親が亡くなって下世話な話「相続はどうする」みたいなことを兄貴と話したら。 「法定相続にしたがって云々」と即座に答えられた。 こちらはあんたが何にも手助けしないところを面倒見ていたのにそういう了見かい!!ってな。 兎角、人の世というものは自分…

毒舌日本史(今東光著)

本書は文春文庫版で読む。 先般「物語日本史(平泉澄著)」を取り上げたが本書はその対極にあるかと思われる本。 例えば、後醍醐天皇は戦略観が無く楠木正成を生かせない無能で、その楠木正成も明治時代に忠君として宣伝したが本来は河内の田舎侍と喝破する…

父親が亡くなる

以前「天敵」と称した父親が本日亡くなった。 悲しいとかいう感覚は無い、時間が経てば沸いてくるものであろうか? 母親、父親の老境の人生を自分の目で見ると、今はもう廃れたはずの実存主義の立場に至る。 それまでは肩で風を切るような生活を歩んできたと…

アジア杯終わる

日本がUAEに負けてアジア杯への興味が失せる。 しかし、親善試合やW杯ではあんなに弱かった日本がここまで強くなるとは思わなかった。 たぶん、歴代でも最強のチームだろう。 今日もPKで試合が決したのだがそこまでは日本が優勢だった。 勝ったUAEも今の日本…

リスク(ピーター・バーンスタイン著)

本書は1998年日本経済新聞社刊行のもの私は日経ビジネス人文庫版で読む。 賭け事の必勝法としての確率から現代の金融市場を御する金融工学の流れを通じ人間がリスクを理性的に回避する方法、すなわち(不確実性という)神々と渡り合うその思考の流れを記すとい…

物語日本史(平泉澄著)

本書は講談社学術文庫版で読む。 少年少女向けの日本史である、私の教養のなさを暴露するようになるが読んで参考になることも多い。 そして一読してわかるように天皇を中心にした物語である、そのことから敷衍してあの戦争について考えてしまうことがある。 …

新しい物性物理(伊達宗行著)

本書は講談社ブルーバックス2005年刊行のもの、10年前の著作なので表題の「新しい云々」には多少の違和感があるのだが、読んでみると本当に世の中の事を知らないかったことに気づく、10年前にもこんなにおもしろい世界が開けていたわけだ「ナノテク」という…

思想史の横顔(鈴木正著)

本書は勁草書房1987年刊行のもの、なぜ本書を買って読んだのかは少し因縁めいた事情がある。 少し前に取り上げた「東京下町古本屋三十年(青木正美著)」 の中で「地蔵になった男」というNHKのテレビ番組に取り上げられた人物宮沢芳重についての記述があった…