110円の知性

110円(税込)の古本を読んで得た知性とはこんなもの(消費税変更に合わせて改題)。

#読書

織田時代史(田中義成著)

本書の原本は大正十三年明治書院版、私は、昭和55年初版の講談社学術文庫版で読む。 もとより、歴史は嫌いだった、暗記科目といわれ暗記の苦手な私はこの手の本は流し読みしていた。 その伝統は本書にも受け継がれたのか、文庫版260ページほどの本に随分と時…

正しいパンツのたたみ方(南野忠晴著)

本書は岩波ジュニア新書のうちの一冊。 子供向けとか変なプライドは一時期あったが今はない、「道は生きている」「川は生きている」「森は生きている」の富山和子シリーズ(講談社、青い鳥文庫)などは子供向きに書いてあるが大人も読めるし、目から鱗の話で…

愛と暴力の戦後とその後(赤坂真理著)

本書は講談社現代新書版。 まえがきに「これは、研究者ではない一人のごく普通の日本人が、自国の近現代史をしろうともがいた一つの記録である。」とある。 まぁ、ほとんどの日本人はその「近代史」を探ろうともしないので、その面では良い意味の啓蒙書だ。 …

デンダラ(佐藤友哉著)

本書は新潮文庫版で読む。 大塚英志の本でこの著者を知ってとりあえず一冊読むことにした。 それは随分前のことだが、たまたま、本の山(海か?)の中から読みかけが出てきたので残りを読んで見た。 話としては面白かったが、キャラクターや世界観の設定がな…

この書物を愛する人たちに

愛と死の伝承(諏訪春雄著)角川選書・・・昭和43年版刊行のものを読んだ。 この本自体を紹介するつもりはなかったが、この本の終わりの方に「この書物を愛する人たちに」を表題とする一文があった。 既に、読書する人も減り、この内容にも全く動揺しない人が多…

榎本武揚(安部公房著)

本書は中央公論社1960年初版のもの、私のは1973年第14版であった。 AMAZONでコメントを見るとこの著者にしては珍しい歴史小説と捉えた方が多いようだ。 しかし、どの本だったか忘れたが最近読んだ本の中で、これが戦後の「転向」について書かれたものという…

イスラーム哲学の原像(井筒俊彦著)

本書は、岩波新書1980年が初版のもの、私は、2013年アンコール復刊されたものを読む。 以前、価値がわからないままこの著者の本を結構読んでいた。 読みやすい本が多かったからだと思うが、ある面、イスラームということをなめていたところも正直言うとあっ…

弊風一斑 蓄妾の実例(黒岩涙香著)

本書は、社会思想社、現代教養文庫1992年初版のもの。 もう、本書が文庫版で出版されていたということだけで胸がいっぱいになってしまう。 ちなみに本書とはこういうものだ。 森鴎外こと、当時本郷駒込千駄木町廿一番地に住する陸軍々医監森林太郎は児玉せき…

東京劣化(松谷明彦著)

本書はPHP新書版。 このところ、日本という国が衰退しているという印象を持っている。 まぁ、ほとんどの人が気づいていることなのだろうが、ついぞ気づかなかった。 ついでに、アメリカもどうもあやしいっていう本もあった(「これから世界はどうなるか(孫…

神への告発(箙田鶴子著)

本書は1977年筑摩書房から刊行されたもの、私はは1987年、ちくま文庫版で読む。 相模原市緑区の障害者施設「津久井やまゆり園」で19人が殺害され、27人が負傷した事件があった。 世論は、犯人の残虐性を今もとりあげている。 しかし、本書を読んで見ると…

項羽と劉邦(司馬遼太郎著)

本書は新潮文庫版で読む。 積んでいた本が何故か崩れた時に本書が3冊並んでいるのが目に付いた。 確か上巻くらいは読んでいたはずと思って調べたがなかったのでこの機会に読んで見た。 最近読書のスピードは遅くなってしまったが、小説は気負わなくても読め…

古本雑感

古本雑感としたが、少し意味が違うかもしれない。 それというのも、BookOffについて書こうとしたからだ。 BookOffは、一般的な古書というよりも比較的新しい本を再販するということが主力で、一時期は飛ぶ鳥を落とす勢いであった。 しかし、このところBookOf…

支那四億のお客さま(カール・クロウ著)

本書は連合出版2007年刊行のもの。 本書を知ったのは、直前に上げた「ヨーロッパ・対・非ヨーロッパ(飯塚浩二著)」に良書として載っていたから。 調べて見ると、連合出版から復刊していることがわかり早速入手する。 あとがきを見ると「2003年にハーバードブ…

ヨーロッパ・対・非ヨーロッパ(飯塚浩二著)

本書は岩波書店1971年第1刷のもの、私は1976年第4刷版で読む。 もう読む人も少なくなっている作品だと思うのだが、それにしても読むたびに考えさせられることがある。 著者は、この本を書き上げその後程なくして亡くなったのだ。 だから、この後には何も無い…

保守とは何か(福田恆存著)

本書は文春文藝ライブラリー中の一冊。 本書を知りたければ、あとがきを読むべきだ、編集をした浜崎洋介氏が優れた解説をしている、1978年生まれの浜崎氏がこの著者に行き着くというのはなんとも感慨深いことだと思った。 時間のない人はそだけでも良い、た…

夢、死ね!(中川淳一郎著)

本書は星海社2014年刊行のもの。 表紙裏にある著者プロフィールに「割りと頻繁に物議を醸す」などとあり、この表題からして、いまどきの若者礼賛的な本かと思って批判してやろうと読んで見たら、全然違った。 下手な夢を煽る連中はうじゃうじゃしているが、…

一年有半・続一年有半(中江兆民著)

本書は岩波文庫版で読む。 いわずと知れた中江兆民の著書。 最近ほとほと感じるのは、岩波文庫は場当たり的とも見えるように様々な著作を刊行している。 その中には具にもつかないものもあるけれども、初めて、その著作を読む者や、余り、お金を掛けられない…

老老介護の

記事があって、またまた、コメント欄を読むと予想通りひどい。 年齢不詳が多いが「安楽死」という言葉が暗躍する。 この点から考えて、「安楽死」をすでに高齢者が発言するのは切実な考えとして伺うのだが、とりあえず、関係ない世代が安易に使っているのな…

第37回 鬼子母神通りみちくさ市

本日開催、もう37回にもなるんだね。 丁度、母親がショートスティの最中なのだが、施設に用事があって顔を出した、その帰りに覗いて見た。 梅雨時なので大丈夫かと思ったが、私がぶらついていた時は大丈夫だった。 帰宅してしばらくしたら、雨が降ってきたの…

中江兆民評論集

本書は岩波文庫版。 軽率に当時の評論を現在に当てはめるのは本来ご法度だが、不思議と重なってしまうのは、意識せずに、自分の目線で解釈してしまうということなんだろうな。 私の知識では、読みにくいところも多々あるのだが、それでもなんとなく楽しんで…

夜の森(D・バーンズ著)

本書は図書刊行会1983年刊行のもの、私は、1991年の新装版第2刷で読む。 解説にもあるが本書を知ったのは、川本三郎氏の「忘れられた女神達」という本で紹介されていたからだ。 (著者は女流作家だということ) そして、実際に読んで見ると、翻訳なのでどの…

馬場辰猪(萩原延壽著)

本書は1967年中央公論社刊行のもの、私は1995年刊行の中公文庫版で読む。 元は50年も前の本だが、これが明治の自由民権運動家の単なる記録に留めておくことはできそうもない。 本書を読むとわが国は本当に民主主義であるのか、と一度は自問したくなるだろう…

日本の失敗(松本健一著)

本書は1998年東洋経済新報社刊行のもの、私は2006年第1刷岩波現代文庫版で読む。 第二次世界大戦から相当の年月が経っているのだが、やはり、一度はあれこれと詮索して見たい。 関連する書籍は膨大で当然すべてを読むことは不可能だろう。 本書はそういう中…

清沢洌評論集

本書は岩波文庫版。 先ごろ、岩波文庫版の「暗黒日記(抄)」も読んだが、戦前のジャーナリズムということを感じさせない鋭い視点に感心した。 この先わが国がどのような状況に陥るかはそれこそ不明なのだが、窮地に陥り極端な政治方針を打ち出さないとも限ら…

フランクリン自伝

本書は岩波文庫版1957年に第1刷が出されている、私は1998年の第58刷版で読む。 これは良い作品だね。 もし、日本という国が没落したら、本書に書かれているように、勤勉で節約すれば、再び世の注目を浴びる時代も来るかもしれない。 しかも、勤勉と節約の効…

戦後期日本の精神史(鶴見俊輔著)

本書のオリジナルは1982年岩波書店刊行のもの、私は岩波現代文庫版で読む。 十五年戦争という言葉は本著者によって使い始められたものだそうだ。 何気なく使われている言葉が思いのほかに様々な要因の上に誕生したことを知ることになる。 私達昭和生まれは、…

東洋史と西洋史のあいだ(飯塚浩二著)

本書は岩波書店1963年刊行のもの、私は1988年第17刷版を読む。 私が2歳の時に発行されたこの本を今読んで面白いと思った。 現在は社会科学、歴史科学が進んでいるだろうから、本著書より優れた切り口の本もあるかもしれない。 しかし、題名にある「東洋史と…

「弱くても勝てます」(高橋秀実著)

本書は新潮社2012年刊行のもの。 開成高校野球部が甲子園にいけるかもしれないという前振りで始まる本書は結構面白い。 いわゆる、野球のエリート校のように潤沢な練習時間がとれない(とらない)彼らが勝つには、一点集中、打撃を強化し相手の隙をついて一…

日本に殺されずに幸せに生きる方法(谷本真由美著)

本書はあさ出版2013年刊行のもの。 最初ちらと立ち読みしたら高齢者社会が悪いみたいな本に見えたので隙あらば批判しようと思って買って読んでみた。 最初の方は隙だらけで「おいおい」と思ったが、結論が良いのでOKであった。 著者には「違う」と言わるかも…

<民主>と<愛国>(小熊英二著)

本書は新曜社刊行のもの(初版は2002年) すでに存在しないんだが「SEALDs」というのが胡散臭かったのだが、特に憲法9条に関しては幅広い年齢層を獲得したことが少し気になっていた。 そういう絡みになってしまうのだが、本書を読んで、改めて護憲運動、それ…